onoshin blog

メンタルにまつわる自己理解について

川村元気『百花』

📙2022.10.14

認知症になった母と息子の物語。

「もともと50年も生きることができなかった人間が、長生きするようになってガン患者が出てきた。ガンが治せるようになり、さらに長生きできるようになったら、今度はアルツハイマーが増えた。どこまでいっても、人間はなにかと戦わなくてはならないんです」
 

介護施設に母を預けることにした息子の泉は
家主がいなくなった家で母の日記を見つける。

日記をめくりながら、
忘れようとしていた記憶が蘇ってくる。

"消えたことになっていた" あの一年のことを──。
 

記憶がなくなってしまえば、
自分の子供のことも自分が誰なのかさえも
全部忘れて何も残らないのだろうか。
 

百花=多くの様々な花
 

百花繚乱、色とりどりに咲き乱れて
散った後には何も残らない花火のように
パッと咲いて散っていく
 

たとえ色や形は忘れても、誰と一緒に見て、
どんな気持ちになったのかは思い出として残る。
 

映画の方も観たいけれど
こんな物語は本当にずるい。

絶対泣いてしまうじゃないか。