『読みたいことを、書けばいい。』
タイトルで手に取った本です。
序章 なんのために書いたか
第1章 なにを書くのか
第2章 だれに書くのか
第3章 どう書くのか
第4章 なぜ書くのか
田中泰延という人はこの本で初めて知りましたが、何者なのか。冒頭から他の人とはちょっと違うぞ、と感じて著者のことが気になります。
名前はひろのぶと読む。
電通のコピーライターを24年。
46歳で退社しフリーのライターとなった。
なるほど、どうりで。
本物の人は数ページで心をグッと掴んできますね。
“この本は書くためのテクニックを教えるものではない。書くための考え方を示す本である”
世間によくある「文章力向上72のステップ」などの本は “いつまでステップしてるのか” と言い、“文章にテクニックは必要ない” と言う。
“自分が読みたいことを書けば、自分が楽しい“
だれかのために書くのではない。「自分のために書く」という方針を定めた、と断言している。
たしかに。自分が読んで面白くないものは誰が読んでも面白いわけがないですね。
とにかく他の文章術の本とは真逆のことを言っている。それでも圧倒的な説得力を持つ文章なのは、文章術の基本など、とうの昔に身に付いているからだろう。
少ない文字でどれだけ伝えられるか。
無駄な言葉は削ぎ落とし、シンプルな言葉で伝えること。広告やCMは短い時間で人の心を動かさなければならない。
だから自分の心が動かなければ誰の心も動かない、というのを熟知しているのだなと納得。
シンプルな見出しに少ない文字数。読んでいて楽しいと思わせる独特な文章と合間の文章術コラムの対比が絶妙です。
自分のために書いている、とは言うものの、合間に差し込まれる文章術コラムは、しっかり誰かのために書いてますよね?ありがとうございます。
“自発的に書きたいと思ったことは一度もない”
と言うものの、後半は書くことへの愛が溢れてます。「熱」が伝わり、ちゃんと心動かされました。
出合えて良かった本です。