onoshin blog

メンタルにまつわる自己理解について

銀色の世界

f:id:onoshin1209:20211222231724j:plain

12月の朝。
目覚めると外は真っ白な雪景色になっていた。
小さい頃のはなし。

故郷は雪国というほどではないが、
雪が積もるのは珍しいことではなかった。

雪だるまなんて数メートル転がせばすぐに作れるし、
かまくらや即席のすべりだいも。

凍った地面はスケートリンクのようによく滑り、
ほとんど歩くことなく学校へと向かう。

丸めた雪を投げ合いながら、教室に着く頃には手が悴んで感覚がない。
競うように石油ストーブに手をかざし、ゆっくりと手の感覚が戻ってくる。

木の下に近づいたところでその木を蹴れば、ドサっと雪が降ってくる。
そんな遊びをくり返す。

分厚い氷が張る川に、石を投げ込み割る遊び。
土手を滑るそりはジェットコースターのようなスリルとスピードで、
雪に飛び込んで見上げた空には無数に降る雪の結晶。
雪の絨毯に寝ころぶと、赤くなった頬に暖かさを感じる。

この街は多少の雪では電車が止まったりしない。
傘など邪魔なだけで、フードを被ってさらさらの雪をしのぐ。
白い息を吐きながら、ブーツでギュッギュッと道を作って歩いていく。

カーテンをあけるとそこは銀色の世界。
灯油の匂いと凍てつく空気。
刺すような寒さに感じる懐かしさ。

だから今でも冬は嫌いではない。

クリスマスには雪が似合う。