onoshin blog

メンタルにまつわる自己理解について

心理的安全性が高いチームはぬるいのか?

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「何でもざっくばらんに言ってください」

会議などで上司がよく言いますよね。

そんな時は頭をグルグル回転させて、
沈黙にならないように、かつ核心を突きすぎない
ちょうどいいラインの発言をします笑

鋭く切り込むよりは、場の空気をなごませることを意識してしまいます。


ちなみに「ざっくばらん」とは

心の中をさらけ出して隠しごとをしない様子のこと。遠慮がないさま。

(何語なんでしょう?語源や死語なのかもわかりませんし、私は使いません)


Googleのリサーチチームの発表により注目されている
心理的安全性」という言葉があります。

最近よく耳にしますね。

ベストセラーとなった本
心理的安全性のつくりかた』を読んでみました。

【目次】

心理的安全性とは?


「一人ひとりが恐怖や不安を感じることなく安心して発言・行動できる状態」

心理的安全性が高いチームは離職率が低く、収益性が高い」


冒頭の上司の発言に対する私の考えかたは
心理的安全性が低いといえます。

恐怖を感じていますからね笑


しかしながら、「なんでも意見を言ってよ」
と言いたい気持ちはわかります。

意見を聞き入れて採用するかはさておき、
上司としてはこんな気持ちだと思います。

  • いろいろなアイデアが欲しい
  • 社員の不満を解消したい
  • 社員の考えを理解したい
  • 自分が気づかない点を指摘してほしい
  • 器の大きい上司でありたい


要するに

より良い職場にしたいと思っているのです。


であれば、
上司に勝ちたいとか
不満をぶつけるとか
自分が認められたい
ではなく、

「より良くするために協力する」
という考えが部下に生まれたほうが良いですよね。


私の上司は失敗していますね笑
ではどうすればいいのでしょうか?

心理的安全性が低いとどうなる?

対人関係のリスク

心理的安全性が低いとは、対人関係のリスクが高いといえます。

「反対意見を言ったら嫌われるかな」
「わからないと言ったら怒られるかな」
「間違っているけど指摘できないな」

上司や先輩に対して思ったことはありませんか?

  • 「無知」だと思われなくない→必要なことも質問せず、相談しない
  • 「無能」だと思われなくない→ミスを隠したり、自分の考えを言わない
  • 「邪魔」だと思われなくない→助けを求めず、不十分でも妥協する
  • 「否定的」だと思われなくない→議論せず、率直に意見を言わない

対人関係のリスクに怯えるような職場は、
心理的「非」安全な職場となります。

このチームのメンバーは、
チームの成果や貢献のために必要な行動をしなくなるのです。

キツい職場

わかりやすいのは上司が厳しい職場ですね。

キツい職場
・上司の思い通りに動かず怒鳴られる
・良かれと思って行動しても罰を受ける
・意見を言っても否定される

このような状態だと、
怒られたくない
ペナルティを受けたくない
と思いますよね。

部下はリスクを避けるために働くようになります。

厳しい指導により仕事の基準は高いので、
成果は上がるかもしれません。
これは昔ながらのマネジメントスタイルで、
仕事の基準は高いが、
心理的安全性は低い。
いわゆる「キツい職場」になります。

一見「士気」は高く見えますが、
やらないと怒られるからやっているだけ。
上司に怒られないための「上司対策」に時間が使われているだけです。
これではメンバーのポテンシャルを活かすマネジメントにはなりません。

サムい職場

もうひとつ、心理的安全性が低いとされるのが
「サムい職場」です。

サムい職場
良かれと思って行動したり、意見を言ったりしても、それが反対意見だと怒られたり罰を受けたりする。

そのリスクを冒してまで他者と積極的に関わる必要がないと考え、
お互いが無関心で自分の仕事だけを淡々と行う、サムい職場となります。

事なかれ主義で意見の対立はないので、
一見平和にみえます。
一方で、
自分の強みを活かして成果を出そうとしません。
弱みを隠すことに注力し、
必要な意見を言わないので、
言われたこと以上の仕事はしなくなります。

これでは心理的安全性も低いうえに、
仕事の基準も低いので成果も上がりません。

心理的安全性を高めるには?

日本の組織における心理的安全性を感じる要素
として、4つの因子があります。

4つの因子
①話しやすさ→「意見を言っても大丈夫」
②助け合い→「質問しても大丈夫」
③挑戦→「失敗・間違いを認めても大丈夫」
④新奇歓迎→「自分らしくいて大丈夫」

①話しやすさ
4つの中で最も重要かつ、
他の3つの心理的安全性の土台となります。
やっぱり話しやすい上司がいいですよね。

  • 反対意見を言うことができる
  • 問題やリスクに気づいた時に声を上げられる
  • わからないことを素直に質問できる
  • ネガティブな報告も隠さず事実として上げられる

誰もが話しやすく率直に発言できる職場は、
心理的安全性が高い職場です。

②助け合い
トラブルに対応する時や、
より成果を上げることを目指す時に
重要な要素です。

  • 問題が起きた時、人を責めるのではなく建設的に解決策を考える雰囲気がある
  • リーダーやメンバーはいつでも相談にのってくれる
  • チームが減点主義ではなく、加点主義

個人が責められたり、
一人でなんとかするのではなく、
助け合えるチームであれば
どんなトラブルにも対応できます。

③挑戦
挑戦はチームに活気を与えます。
新しいことを模索し、時代の変化に合わせて変えていくために重要な要素です。

  • 挑戦することが損ではなく、得なことだと思える
  • 前例や実績がないものでも、取り入れることができる
  • 多少非現実的でも、面白いアイデアを思いついたらやってみようと思える

とりあえずやってみよう!
そう言ってもらえたら嬉しいですよね。
挑戦することは成長につながります。

また、やってみたことを振り返り、
改善する点や方向転換の判断につなげることまでを考えながら取り組むと良いでしょう。

④新奇歓迎
より人に焦点をあてた因子です。
過去の常識にとらわれず、
それぞれの才能に合わせた最適な配置や
成果を最大化させる役割分担が行えるようになります。

  • 強みや個性を発揮することを歓迎されていると感じる
  • 常識にとらわれず、様々な視点を持ち込むことを歓迎される
  • 目立つことがリスクでないと思える

多様性の時代、それぞれの個性を活かしたマネジメントが必要です。
異物を排除するのではなく受け入れて、
チームが大切にしたい方向へと推進していくこと。誰もが心理的安全性を感じる職場にしたいですね。


以上、これら4つの因子がある(存在する)とき、
心理的安全性を感じられる」ということです。

リーダーはこの4つの因子にアプローチして
変革をもたらし、チームの心理的安全性を高めるのです。

心理的安全性が高い=ヌルい職場なのか?

ヌルい職場

心理的安全性という言葉で勘違いされやすいのが
ヌルい職場と思われることです。
たしかに、ゆる〜い職場ってこと?
と思うかもしれません。

ヌルい職場
クオリティの低い仕事でも怒られない、
納期やノルマも厳しくない職場。


つまり、心理的安全性は高いが仕事の基準は低い
といえます。

心理的安全性は高いので、
みんなが気軽に意見を言ったり協力したり、
楽しそうに仕事をするのですが、
仕事の基準が低いので、目標が達成できなくても「まぁこのくらいでいいか」
と妥協してしまいます。

これでは業績は上がりませんね。
いくら楽しい職場でも、会社が潰れてしまったら
元も子もありません。

ヌルい職場になってしまうのは、
心理的安全性のせいではなく
「仕事の基準が低いこと」が原因です。

さらに、
仕事は楽しいが充実感は感じられないので、
成長志向の人は転職を考えるかもしれません。

学習する職場

ここまでで、
どんな職場が一番良いのかわかってきました。

心理的安全性が高く、仕事の基準も高い
「学習して成長する職場」です。

この学習して成長する職場では、高い基準を保ち
成果に向けて鼓舞するため、次の4つが努力の源泉となります。モチベーションと言ってもいいでしょう。

学習して成長する職場
【サポート】
成果が出ない時にも、罰や不安ではなく相談に乗ってくれたり、アイデアをくれたりする
【意義】
チームプロジェクトとして大義や意味がある目標設定がされてあり、やりがいや成長が実感できる
【みかえり】
成果に至らなくとも、望ましい努力に対して承認や感謝を伝えてもらえたり、適切な行動を促してもらえたりする
【配置】
適材適所に配置されることで、自発的・自律的に努力できるようになる

このようなチームの中では、実は衝突が促進されます。逆に「非」安全な職場では衝突を避けるように調整していますが、健全な衝突はむしろ業績にプラスになるのです。

目的が同じであれば、そこに向かう過程でぶつかり合いながら進むのは健全なことですよね。

目指すべきは
社会の変化にうまく対応し、挑戦や実践から学び、結果として成果の出るチームです。

心理的安全性も仕事の基準もどちらも高い、
「学習して成長する職場」を目指していきたいですね!